事業実施により期待される効果等
- 児童生徒が自身で現実を切り開く自信をつける
- 児童生徒が社会的能力及び問題解決スキルがupする
- 児童生徒が自己効力感がupし、自分へ高い期待ができる
- 児童生徒が社会への前向きの期待をもてる
- 児童生徒が学校外活動を通じたキャリア形成ができる
- 児童生徒が活動を通じて親や教師から社会的サポートを得ているという認識を持てる
- 児童生徒が学校外の大人と接点を持てる
- 児童生徒が自尊感情を持てるようになる
提案理由
(企画の背景と現状)
<人生設計と学力について>
現代社会では、学力や学歴が仕事に大きく影響してきます。仕事に必ずしも学力や学歴は問われませんが、学力と学歴が生涯所得に大きな差はでてきます。それゆえ、小学校や中学校の基礎学力を身につけることは、その後の高校・大学への進学や就職、生涯を通した人生設計に大きく影響してきます。<離職について>
沖縄労働局は、令和3年12月9日に、平成30年3月新規学卒就職者の3年以内の離職率は、新規高卒就職者は50.6%と離職状況を公表しています。2017年2月の沖縄振興開発金融公庫レポートでは、離職の問題を、企業側の問題(給与面、労働時間など労働環境など)と若年労働者側の問題(就業意識など)の2つから調査分析しています。後者の若年労働者の問題における調査分析では、高校から社会人に至るまでの「高校選択」「職業選択」のミスマッチの重なりを、離職の要因として指摘しています。<学力格差について>
沖縄県では、基礎学力を身につける小学校と中学校における、令和2年度の不登校児童は、小学校1,564人、中学校2,099人と報告しています。(令和3年10月13日 文部科学省初等中等教育局児童生徒課 令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果P91より) 公教育で基礎学力を身につけることができない児童生徒は、塾や家庭教師などの民間学習支援サービスを受けることで学力定着を補うことができます。しかし、可処分所得の少ない家計においては、サービス料の負担が難しいことから学力定着を補えず、児童生徒の学力格差の要因となってしまいます。学力格差は学ぶ意欲を損ない、「高校選択」に影響していきます。<キャリア教育について>
中央教育審議会は平成23年(2011年)に「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」とキャリア教育を定義しました。 また、沖縄県教育委員会は、2020年5月に、「沖縄県版キャリア・パスポートの活用と運用」を公表し、本県の児童生徒がこれからの生き方や将来の自分の役割について考え、自己実現を図ることを提唱しています。 前述した不登校児童は、公教育で基礎学力を身につけることができないだけでなく、キャリア教育も同時に受けることもできなくなり、自身の変容や成長を自己評価することが難しく、「高校選択」や「職業選択」に影響してきます。<まとめ>
上記の状況は、「高校選択」までの小学校中学校9年間、「職業選択」までの高校3年間を通して長期的に取り組まれるため、個々に応じた公助は難しい。また、自助努力が難しい場合の共助も不足しています。取り組む内容
(解決すべき課題・問題点)
課題①「成長機会」
1つ目の課題は「成長機会」です。発達心理学者のエリクエリクソンは、5歳から11歳までの学童期において、「自己有能感」の自我発達が行われると提唱しています。また、自分の才能を自分の時間に発見することができないと、子供たちはモチベーション欠如、低い自尊感情、嗜眠感を発達させると述べています。不登校の児童生徒においては、学校における自身の才能発見の機会が少ないだけでなく、キャリア教育を受ける機会がない場合は、家庭や学校以外で自分の能力に自信をもつことが難しくなります。
自分に自信を持つことは、学童期のみならず、その後の高校受験、就職活動、就業観にも影響を及ぼすと推察しています。
課題②「社会参加」
2つ目の課題は「社会参加」です。
社会は、学校、学校の授業、地域など、人と接する場所や活動を行う場所を指します。社会に参加することで、子どもの視野や考え方が広がり、「高校選択」や「職業選択」の幅が広くなります。しかし、学校に通うことができない児童生徒には、社会参加することが難しくなるため、学校外での社会参加が必要とされます。また、可処分所得が少ない家庭の児童生徒は、学校外での社会参加も難しい場合があります。「社会参加」が少なくなると、自分の変化や成長を自覚する機会が少なくなり、自信をつける機会も少なくなります。自分を信じる力が弱くなると、物事をやり抜く力、未来を切り開く力にも影響します。
前述した不登校には、学校の授業についていけない、発達に気になる点がある、いじめや社交不安などの人間関係により学校に通えないといった様々な理由が考えられます。状況によっては、障害の有無など医師の診断を必要とする場合もあり、個人情報保護の観点から、早急の対策をとることが難しいことが多く、事態が先送りになってしまう問題が起こります。
本事業では、<①学校に通えないなど何かしら問題や課題を抱える児童生徒>及び<②可処分所得が少ないご家庭の児童生徒>が<社会参加を通して成長機会を獲得する>ご縁をつくります。
また、児童生徒が社会参加した成長機会のプロセスを通した自己有能感から、本人と児童生徒に関わる学校関係者が共に前向きな高校選択や職業選択に結びつくことを目指して、『子どもの自己肯定感の向上に資する事業』『子どもの貧困の解消に資する事業』を行います。
実施対象地域 8市町村
北部:金武村・恩納村・宜野座村
中部:うるま市・読谷村
南部:豊見城市・南風原町・与那原町
